講演内容

 アレルギー病とは、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、花粉症などIgE抗体が関与する疾患群をいいます。このアレルギー病が最近急に増えてまいりました。たとえば10歳以下の子どもでは約40%がアトピー性皮膚炎ですし、花粉症には日本人の5人に1人が罹っています。

  しかし、この病気は35年前にはなかった病気です。アレルギー病は回虫や細菌、ウイルスなどの微生物とつきあっていると発症しにくくなることを私たちは研究で明らかにいたしました。これらの微生物を排除した「キレイ社会」がアレルギー病の発症を促進していると思うのです。

アレルギー反応は免疫機構のうちTh2が関与し、癌はTh1が関与することがわかっています。「キレイ社会」はTh1も弱めて、癌が発生しやすい環境にしているのです。それでは免疫力を強め、癌にかからないようにするにはどのようなことが考えられるのでしょうか。

  その鍵は腸内細菌叢がにぎっていることがわかりました。腸内細菌叢のバランスよい環境がT細胞を刺激し、キラー細胞を出現させたり、Th1を増殖させ、癌の発生を抑えていることがわかったのです。腸内細菌叢のバランスを保つためにはまず食事です。野菜、穀類、豆類、果物などの植物性の食品中心とした「手作り」の食事が大切です。細菌類を殺してしまうような防腐剤入りの食品や抗生物質や細菌剤の混入した食事を取らないことが必要なのです。そして、笑うことや自然に触れることも重要です。